eimi 個展「Inside PINK」

東京を拠点に活動し、誰もが知る渋谷の商業施設とのお仕事など手掛けるイラストレーターのeimiさん。「コンプレックスをもつ女の子」をテーマに、ピンク色で描く彼女の作品には若い女性のファンが多い。ピンク色のシャツと黒のパンツで取材場所に現れ、言葉を丁寧に選びながら彼女自身の “inside PINK”についてお話しを頂きました。

入り口は少女漫画

--eimiさんは東京を拠点に活動されていますが出身はどちらですか?

  • 出身は新潟です。デザイン学校に行くために上京してからずっと東京です。

--絵を描くのが好きな少女でした?

  • はい。子供ながらに絵はコミュニケーションツールでした。漫画のキャラクターを描いているとクラスメートが寄ってきて話のきっかけになったり。あと、中学生の時にホームページを作って自作の絵を公開していました!少女漫画が当時は好きで、りぼん、チャオ、なかよし、全部買っていましたね。でもストーリーよりも絵を観ていて、漫画が絵の入り口だった気がします。

--東京に出てからはどうでした?驚いたことなどありましたか?

  • 本屋さんが面白かったです。地元ではアート関係の本が無く、イラストレーターの名前もほとんど知りませんでした。

--卒業後からイラストレーターを目指していましたか?

  • いえ。そこまでしっかりしたものを持たずに就職しましたが、心のどこかに自分本位にやりたいという漠然とした気持ちがありましたね。そして、digmeoutを知り、「ポートフォリオを見てもらう事」が目標になりました。会社を辞めてアルバイトしながら、ピンクだけで描いた15枚の新作をグループ展に出してdigmeoutの谷口さんに見て頂き「いいね」と言って頂いたのが、この道を目指すきっかけです。その後にdigmeoutへの登録が決まりとても嬉しかったです。

  • --卒業後からイラストレーターを目指していましたか?

イラストと作品のはざまで見えてきたこと

--今やeimiさんと言えばピンクの色ですし、今回の個展タイトルも Inside PINK 。ピンクは好きな色ですか?

  • ピンクに出会ってしまいました。私の絵はエログロでキャラクターももっと目つきが悪かったのですが、ある日試しに蛍光ピンクで描いてみたら、同じ絵でも可愛くPOPに変化して。これだって思いました。少女漫画時代の影響もあったかもしれませんね。漫画雑誌はインクがページによって違っていたので、子供の頃もピンク系や紫系に目が行っていたと思います。

--eimiさんは渋谷で109やパルコなどの大きな仕事や企業とのグッズコラボレーションなど大活躍のイラストレーターでありながら個展もしている。どのような目標をこれまで持ってこられましたか?

  • ピンクと切り離せない絵なので自分で仕事の幅は狭めているのではないか?という葛藤がありました。イラストレーターとしての自分と作家としての自分を変えたら楽になった。作家では内面の弱さや自我の強さなどをテーマに作品を制作しますが、お仕事のイラストは自分の中できちんと切り替えができていると思います。振り切れてイラストレーターとして仕事をすることにも自信が出来ました。

--インスピレーションの源は?

  • 街で人間観察をすること、映画鑑賞。古本屋も好きです。昔の装丁や戦前の映画の写真などとても惹かれます。子供のころから祖父母の古い写真を観るのが好きでした。私は、距離感があるものに美を感じます。昔はあって今は無い、そんな距離感の面白さや美しさに影響を受けていると思います。

--今回のタイトルはずばり 「インサイドピンク」。まさに内側にあるものを描き出している感じでしょうか。個展を通して伝えたいことなどは?

  • 昔から正反対なものに惹かれます。過去と未来。ピンクもそう。今日は着ているけれど普段は黒の洋服ばかりです。女性も。自分自身には女性性の意識はないのに、描く絵には思い切り女性が出ます。どちらが自分なのか?どちらも自分だろうな、というように、相反するものを絵に入れています。描いた瞬間に絵に対する記憶や執着が無くなり、私の想いはこの子たちが背負っていくので私は彼女たちが抱えているものをお話ししようかと思います。

  • --今回のタイトルはずばり 「インサイドピンク」。まさに内側にあるものを描き出している感じでしょうか。個展を通して伝えたいことなどは?

--今後の抱負などお聞かせください

  • 来年は台湾で展示しますが、将来は旅をして日本とは違うものを観たり感じたりしたいです。今はまだそれをする余裕が無いですが、いつかやってみたいですね。

    ライフワークでその日に観たものをスケッチし続けているのですが、1,000枚くらい描きためたら分厚い画集を出版したいです。

--いまは映画を観たり古い本を見てタイムトラベルをしているんですね?

  • まさにそうです!本当にそうですね。

ARTIST PROFILE

  • eimi (エイミ)
  • eimi (エイミ)

    1986 年生まれ。新潟県出身 東京在住。東京デザイン専門学校(グラフィックデザイン科)卒業後、デザイナーを経てフリーのイラストレーターになる。「コンプレックスをもつ女の子」をテーマに少女画を描き続け、10代~20代の女性層から支持を集めている。
    https://digmeout.net/artists/eimi/

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