―まず、鈴木さんがどういった活動をされているか教えていただけますか
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メインは年間4,5回の個展で、去年からもう少し回数が増えています。いくつかのクラフト系のショップでは常設で作品を飾っています。
―硬派な現代アートというより、生活に近いところにある印象ですね
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常設の取扱店だと隣に木工の作品があったり器が売ってあったり、基本は絵画はやらないというギャラリーさんで展示をしたり、アートとクラフトの間の感じがあるようです。
―どういう経緯で画家として活動を始められたのでしょうか
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名古屋の短大で、絵というより写真、映像、立体造形・・と色んなことをやり、あっという間に卒業しました。
静岡に帰って働きながら、手元にある絵の具で、ベニヤ板とか紙じゃないものに描き出したんです。下書きもせずにぼんぼん描いていく、というスタイルは今も変わっていません。それを少しずつグループ展などに発表していったのが最初です。
その後、一時期イギリスに渡ったのちに上京して、今に至ります。
―イギリスでは何をされていたんですか?
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10年ほど前、ワーキングホリデーでまる1年行きました。人見知りなので言葉が通じない人にどう接していいかわからず、暮らすのは大変で。
ギャラリーや美術館は無料で入れるので、素晴らしい作品を毎日見ることができました。ロンドンのレベルが違うアートの世界が見えてしまって、私はこれから何をしていこう?とも考えましたね。でもやっぱり日本に帰ってきたら、やるしかないなと思って。
―そこから一念発起して上京されたんですね
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田舎育ちなので、ちゃんと就職して、結婚して、子供を産んで、家を建てて・・というのが当たり前、という刷り込みがあったんです。
だけど自分はちょっと違う道があってもいいのかな、という思いを抱えて海外に行ったら、イギリスにはやっぱり自由さがあったし、年をとっても好きなことをやっている方が多いし。思い切って違う世界を見たことで、今の活動に繋がっています。
それから上京して、さまざまなコンペに出すうちに本の装丁のお仕事をいただいたり、ギャラリーからお誘いいただくようになって、今はそういうギャラリーとのやり取りがメインになっています。
―作風に影響を受けたものはありますか?
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短大時代に、その当時上映会なども多かったチェコのアニメーションがとても好きで。ちょっと怖さがあるような、古びた感じの雰囲気は、未だに軸になっています。
無意識に原点に戻っていた
―今回の個展のテーマ「My Odd Friends」について教えてください
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自分が想像してきたもの、見てきたものを繋ぎあわせて創りあげたものです。こういうやつがいたら面白いな、というキャラクターのような生き物がたくさんいます。
―飼われているような動物ではないですね
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野性的な、怖いというか力強さを表現したいと意識しています。人のような姿の生き物もいるし、2匹以上の生き物が登場する絵でも、そこの関係性が飼われているのか親子なのか、解釈の余地があるものになっています。
―絵の背景も、夜空だったり、昼間のようなものがあったりします
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背景の色最後に塗るんですが、今まで黒とか紺色が多かったんです。DMOARTSを見て明るいイメージが頭にあり、そこにあって楽しく見えるといいなと思って今回は淡い色にも挑戦しました。自分としても気に入っています。
―鈴木さんにとっては描きやすいテーマでしたか?
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今回の絵のテーマは、最初に絵を描きだしたころのテーマに戻っている感じがするんです。最初に絵を描きだしたころも、変な生き物、想像上の生き物、人なのか動物なのかわからない感じだったんです。タッチは違いましたし、無意識だったんですが、自分の原点のようなところに戻ってきたようです。アイデアがポンポン出てきて、自分に合っているテーマだったのかなと思います。
―こういった動物などの絵の他に、より絵画的な作風もお持ちですよね。今度の展示でも両方展示します
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飽き性なところがあって、気分転換のような意味があります。それが自分らしさだと思っているので、絵のタッチも自分のスタイルにこだわりすぎず、描いています。シックな絵画と、ちょっとライトなスタイルと、2つくらいあります。
デンマークで得た視点
―今後やっていきたいことや夢はありますか?
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海外にはすごく興味があるので、発表の機会があるといいなと思っています。日本人らしさとか、そういったものも考えてみたいです。
―昨年はデンマークで展示されたんですよね
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去年初めてデンマークに行って、みなさんアトリエがめちゃくちゃ素敵で、うらやましくて。いまのアトリエづくりのきっかけになりました。日本だとそういうことができないと思ってしまうんですが。ここが自由に手を入れていい築50年くらいの団地なので、壁紙をはがしたコンクリートに漆喰を縫って、床板をはりました。
―最後にメッセージを頂けますか
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楽しんでいただけたら嬉しいです。在廊もしますので、直接感想を聞かせていただきたいです。大阪のお客様は楽しくお話できそうで楽しみにしています。
DMOARTS DIRECTOR’S EYE:
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鈴木恵美さんの作品は、モチーフの生き物の息遣いが聞こえてくるような温もりがありながら、シンプルなフォルムに落とし込まれ洗練された表現が魅力です。
なんと今回は初めて、ご自身で焼いて絵付けした陶器の作品も発表します。絵画の世界観をそのまま表現した焼き物もぜひお楽しみください!
ARTIST PROFILE
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鈴木恵美|Emi Suzuki
画家
神奈川県在住
1984 静岡県浜松市生まれ
2005 名古屋造形芸術大学短期大学部卒業
web : www.szkie.com
Instagram:@suzukie_mi
[主な展示]
2019 個展「quiets」hase/名古屋
2018 個展「fables」LISETTE 鎌倉店,自由が丘店/東京
2018個展「Tak」Gallery noir/静岡
2018 グループ展「bird」Galleri Engholms Brændpunkt/Denmerk
2018 個展「silent」cafe du grace 921gallery/岡山
2017 個展「夜更けの徒然と」Gallery NOKTA/静岡
2017個展「かたちのはなし」hase/名古屋
2016 個展「青々」cafe du grace/岡山
2016 二人展「人々」Gallery分室/東京
2016 個展「冬の青い日」Art Salon 金工堂/名古屋
2015 二人展「モンシロチョウの青い箱」Gallery分室/東京
2015 個展「日々、かんかん」Shingoster LIVING/茨城
2014 個展「月を肴に音楽と…」Bar & Food ten ten ten 初台店/東京
2014 個展「夜にささやく」OPA Gallery/東京
2013 個展「かぜをゆする」Gallery NOKTA/静岡
2012 個展「しろいナニカ 絵本原画展」Gallery NOKTA/静岡
2012 個展「そとがわとうちがわのはなし」iTohen/大阪
[主な活動歴]
星野リゾート「界 アンジン」施設内作品常設
木太聡「顔」 CDカバーアート
椎名誠「EVENA」装画(文藝春秋)
「ねずみ男の解読」装画(金剛出版)
浅田次郎「獅子吼」「九泉閣へようこそ」別冊文藝春秋扉絵
協力
ARCHIVES
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鈴木恵美|Emi Suzuki
画家
神奈川県在住
1984 静岡県浜松市生まれ
2005 名古屋造形芸術大学短期大学部卒業web : www.szkie.com
Instagram:@suzukie_mi[主な展示]
2019 個展「quiets」hase/名古屋
2018 個展「fables」LISETTE 鎌倉店,自由が丘店/東京
2018個展「Tak」Gallery noir/静岡
2018 グループ展「bird」Galleri Engholms Brændpunkt/Denmerk
2018 個展「silent」cafe du grace 921gallery/岡山
2017 個展「夜更けの徒然と」Gallery NOKTA/静岡
2017個展「かたちのはなし」hase/名古屋
2016 個展「青々」cafe du grace/岡山
2016 二人展「人々」Gallery分室/東京
2016 個展「冬の青い日」Art Salon 金工堂/名古屋
2015 二人展「モンシロチョウの青い箱」Gallery分室/東京
2015 個展「日々、かんかん」Shingoster LIVING/茨城
2014 個展「月を肴に音楽と…」Bar & Food ten ten ten 初台店/東京
2014 個展「夜にささやく」OPA Gallery/東京
2013 個展「かぜをゆする」Gallery NOKTA/静岡
2012 個展「しろいナニカ 絵本原画展」Gallery NOKTA/静岡
2012 個展「そとがわとうちがわのはなし」iTohen/大阪[主な活動歴]
星野リゾート「界 アンジン」施設内作品常設
木太聡「顔」 CDカバーアート
椎名誠「EVENA」装画(文藝春秋)
「ねずみ男の解読」装画(金剛出版)
浅田次郎「獅子吼」「九泉閣へようこそ」別冊文藝春秋扉絵
ちょっと違う道があってもいいのかな、という思い