chiaki kohara 個展「グリモワール」

2011年にdigmeoutに所属をして以来、私たちとは数々のプロジェクトを共にしているチアキコハラは国内外の第一線で大活躍する人気アーティスト。DMOARTSとのお付き合いも長いですが、今回初めてじっくりとチアキさんに語って頂きました。これまでのこと、これからのこと、そして個展のこと。どうぞじっくりと読んでみてください。

自分に出来ないことをやってみる

--チアキさんが絵を描くようになったのは?

  • 子どものころは、粘土遊びが好き。絵も好きでした。好きな絵を続けるために高校の先生に相談したら「君はどこに行っても絵を描くから大丈夫だ」と言われて、絵を描く上で一番苦手な事をしよう!と決めました。専門学校の学校見学に来ましてね、もうね、パソコンだらけで絵を描く場所なんてない!えー!?です。ワープロでも嫌悪感があるのにパソコンなんてもう。けれど、「どうやって自分が出来ないことと、絵のコラボレーションができるかな?」と思い入学しました。結果的に良かったです。美大なら環境も友達も100%美術じゃないですか。きっとその環境に満足しちゃって踏ん張らなかったかも、私は。学校ではたくさん学ばせてもらい、卒業後はイラストの仕事を始めました。

--在学中にはユニクロの賞を受賞したのですよね?

  • はい。2007年にUNIQLO CREATIVE AWARDで草間彌生賞を頂きました。そしたら風当たりの強かった先生も変わって(笑)(「あなたの絵には青春の輝きがある」との評)

--チアキさんはDMOARTSやdigmeoutでも人気アーティストの一人ですが、きっかけは何でしたか?

  • 在学中は、「色んな人に作品を見てもらいたいな」という欲望みたいなものがあって「色んなところに出てみようと」と、苦手なパソコンで名刺を作り、当時流行っていたmixiでアートの人と繋がり情報を得たり。学生でも参加できるアートイベントに出てdigmeoutと出会いました。でもなかなかdigmeoutメンバーになれなくて、熱いメールでアピールもしましたよ。一緒にいた他のアーティストは登録も済ませているのに私だけ声が掛からない。「私も入りたいです!」って。そしたら「まあ待て、焦るな」と諭されたり(笑)。そうこうしているうちに晴れてメンバーになりました。

    そこから色々とやらせてもらいました。下着メーカーとのコラボレーション、銀座ソニービルでは大きな壁画を描き、御堂筋アートイベント、アート台北でのライブペインティング、アートフェア東京など。「こんなのあるんだけど」って言われたら後先考えずに「やります!」って。そのうちに、ギャラリー部門のDMOARTSとも関わるようになって一気にアート色が強くなりました。ちょうど私はその頃イラストレーションで悶えていた時期でした。周りからも「君の絵は仕事に直結するのは難しいね」と言われて、仕事では、なるべく癖のないノーマルなイラストを描いていたので、そんな広告イラストレーションの世界にどうやって自分の描くものが存在していけるのだろうか・・・・みたいな気持ちを抱いていた時期でした。digmeoutもイラスト色が強いし、その中でゴリゴリな自分の作品がどう乗っかれるのだろうと悩んでもいた。そして、ギャラリーと関わることでそこから抜け出た感じです。「私らしく描く!」と思った大きな瞬間でした。

  • --チアキさんはDMOARTSやdigmeoutでも人気アーティストの一人ですが、きっかけは何でしたか?

はみ出す!

--そこから快進撃が始まるわけですね!

  • 自分も絵も飛び出したらいい、と思いました。はみ出すことが私らしい。平面だけでなくフィギュアも作ったし、たくさんチャレンジさせてもらいました。すべての作品作りは、「珍ストーリー」だらけです(笑)

    ライブペインティングもたくさんするうちに見えてきたこともあり、参加型の「インタラクティブアート」もスタートさせました。例えば、私は必ず描く前の下地にレースやお菓子のパッケージなど何か貼るのですが、それを「お客様で紙をお持ちの方は?」と聞いてレシートやパッケージを貰いそれを貼る、とかね。一緒に楽しんでもらえるのが良いなと。

--それが六本木アートナイトで2年連続行ったカラー・ドット・インクという活動に発展していくのですか?

  • digmeoutとは別の活動で、エンジニア、建築家、プログラマーと組んだユニットで、一言でいえば「エンターテイメントのライブペインティング」です。テクノロジーとアナログを融合し、たくさんの仕掛けがしてある装置でお客さんも参加できて皆が楽しめる。アートハッカソンイベント「3331αArt Hack Day 2015」でまさかのグランプリを取りまして。プロジェクションマッピングやテクノロジーを使い壮大なイメージで臨んだのに、そうそうたる審査員がいる発表の舞台でトラブル続きの大失敗。それはもう悔しかった。絶対に入賞なんてあり得ないし、トイレで泣きながら筆を洗っていましたよ。でも、グランプリだった。名前呼ばれて慌てました(笑)審査委員だったライゾマティクスの齋藤精一氏から、「僕たちの仕事スタイルと似ていた。3個しか入らない本棚に君たちは5個詰め込もうとしている。できないと分かってもチャレンジする。それが大事だ。」と評価してもらえて。 カラー.ドット.インクとして不定期に活動しています。

引力を感じてもらいたい

--さて、今回の個展は「グリモワール」というタイトル。どんなイメージでしょうか?

  • これまでは女の子の心をテーマに絵を描いていましたが、今回は心の部分から離れて魔術の奇妙な生き物を描こうとかな、と。あと、魔術書が置かれているような空間をテーマにしているので、大きい作品よりも「連れて帰りたい!」みたいな、身近に感じてもらえるような感覚の作品を作ろうと思っています。

  • --さて、今回の個展は「グリモワール」というタイトル。どんなイメージでしょうか?

--個展のテーマや意気込みを教えてください。

  • 私ね、しばらく心が呪われていた気がして、そんなことを描きました。グリモワールは「魔術書」という意味ですが、私の描く魔術書には世界を救う魔法と滅ぼす魔法が書かれていると思っています。どれを選ぶかは自分次第。そんな心の揺らぎをテーマにしたいですね。そして「この絵にくぎ付けされる」ような、それぞれが導かれる作品を探しに来てください。そんな引力みたいなものに反応してもらえると嬉しいです。

仲間と創る世界

--これからのチアキさん、どんな感じでしょうか?

  • 一緒に創り上げるの仲間が出来ていると思います。私がイメージしている世界って自分のキャパシティでは実現しない。大きいことをするには仲間がいるから仲間を集めようと。そして私はやっぱり絵を描くところからはみ出したい!そんな自分を見て欲しいという気持ちがあります。それを軸にチャレンジし続けていきたいですね。

ARTIST PROFILE

  • chiaki kohara
  • chiaki kohara

    アクリルガッシュとボタンやレース、お菓子のパッケージなど様々な素材で、女の子なら一度は憧れたであろうワンダーランドを描くアーティスト。ユニクロクリエイティブアワードで「草間彌生賞」を受賞。「canvas@sony2012」でグランプリを獲得。現在は、描くことから飛び出したテクノロジー×アートのパフォーマンスに挑戦中。

    chiaki kohara

    www.chiakikohara.com

    https://calar.ink/

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