Sakurako Fujii Solo Exhibition “nude”

「解放された奔放な自由さが品格をまとったもの、それがものづくりに対しての私の理想であり、人としてもありたい姿です。」こう語る藤井桜子さんは新進気鋭のイラストレーター。瑞々しい笑顔が印象的です。DMOARTSでの初個展を前にお話を伺いました。

自分で見つけた道

--このアトリエにはよく来るのですか？

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    デザインを手伝ったり、制作の場所として貸して頂いたりしています。学生時代はクロッキーの勉強で、デッサンや線の表現、短い時間で書く感覚とかをずっとここで練習しました。余白の使い方、ストロークのことも。具象の描き方などアドバイスを頂いたり。学生時代からのお付き合いですね。

     

     

--藤井さんは京都造形芸術大学を卒業し、春の卒展では見事に学長賞を受賞されましたね。

  • はい。情報デザイン学科のイラストコースで勉強しました。イラストで学長賞は創立以来初めてだったので、とても嬉しかったです。

--美大に入ろうと思ったのはいつ頃からですか？

  • 高校２年生くらいの頃ですね。小さい時から絵を描くのは好きでしたが、進路として本格的に考えていなかったし、高校が進学校で美大の選択肢も無かった。高校が薦める大学見学も行ったけれど、どれも興味が無く（笑）。学校からいったん外に出て、自分で探して情報を集めて、美大に行こうと決めました。

--この作風は学生時代からですか？

  • 大学では作風を考えずにひたすら課題を描いていましたが、転機は去年、DMOARTSで「アート相談員」というイベントでポートフォリオを持参し、プロデューサーの谷口さんに初めて見て頂いたことです。「いろいろ器用に描けるのは分かるけど、結局どういう作品か分からない」と言われて。当然ですけど、学校の授業に比べて核心を突くことを言われました。「雰囲気だけではダメだな。自分が描きたいのは何なのかなって。」と考え直して、この作風を掘り下げて現在に至ります。空間やストロークについては、今も続けているクロッキーの練習がとても勉強になりますね。

  • --この作風は学生時代からですか？

インスピレーションについて

--藤井さんはイラストレーターであるグラフィックデザイナーでもありますが、作品は絵画らしさを醸し出していますね。

  • 自分でも作品を描きながら「どうなのかな」って思うことはあります。仕事ではイラストを意識しますが、作品はとらわれずに自由な気持ちで描いています。

--影響を受けているものや好きな作家を教えてください。

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    ファッションが大好きでとても影響を受けています。ファッション誌や海外ブランドのコレクション動画をよく見ていますね。このM/M PARISも好きで、付箋だらけです（笑）どうやって作っているのかな？と思いながら見ています。あと、野生展でみた黒田征太郎さんの作品に惹かれました。ビジネスホテルのメモ帳に鉛筆で描いたものだけをファイルしてあるのですが、何てことないものだけどパワーがあるのが凄かった。PARCOの広告を手掛けた山口はるみさんは憧れの方です。

     

  • --影響を受けているものや好きな作家を教えてください。

意識を裸にして向き合う

--さて、個展での作品について教えてください。

  • 人物の顔は個人的に好きなテーマで描いていたけれど、作品としてまとまって出すのは今回初めてです。デジタルと絵の具との組み合わせを実験的に始めていて、今回はそれをお見せします。イラストレーターでデジタル部分を作り数十枚を出力した中から選び、手描きの顔や色を乗せて組み合わせています。今回のデジタルは「体のパーツ」です。

  • --さて、個展での作品について教えてください。

--どんな点にこだわりましたか？

  • ボディパーツはデジタルだけど「生っぽい感じ」を出すこと。それと、人間の顔をパネルに描くときはやり直しがきかないのでとても神経を使いました。余白の取り方は無意識であり、意識しています。

--個展タイトルはNUDE.　これに込めた思いや個展の抱負を教えてください。

  • これは私自身が、意識が真っ裸になっていないと描けないこともあり、絵に対して向き合っているシンプルな気持ちみたいなものも込めています。言葉の響きも好きですね。個展では、出来上がった作品を観てもらえるのが嬉しいです。自由に感じてもらえたらいいなとは思うし、出来るだけ在廊して描く過程でのこともお話ししたいなって思います。私もまだまだ頑張らないといけないので、何かのきっかけにしたいです。DMOARTSは学生時代から観に来て「凄いなあ」とどこか他人事で鑑賞していたのですが、こんなに早く憧れの場所で個展が出来るのが嬉しいです。またファッションブランドのショップもあるので、そういう方にも見て頂けると良いなぁと思います。

  • --個展タイトルはNUDE.　これに込めた思いや個展の抱負を教えてください。

--将来の夢は？

  • まだまだ先ですが、海外で絵やデザインのお仕事が出来たらいいなと漠然と思っています。海外拠点で描いている知人がいますが、日本とはまた違う環境で制作をされているのに興味があります。行ってみたい場所は、NYとオランダ、ポルトガルですね。

DMOARTS DIRECTOR’S EYE

  • 藤井さんの作品は、抽象的に描かれた人物描写や、余白における間合いの取り方など、洗練されて完成度の高いものです。大学を卒業したばかりのアーティストのそれとは思えないクオリティです。その一方で、まだプロセスとなっている部分も多く、作品も彼女自身も今後どのように変化していくのか、どのような未来を描いているのだろうかと楽しみです。

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